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仕事 材料 旋盤用木材 日記

フィニッシング

石油由来の仕上げ材(ウレタン塗料)を使わないで鏡面仕上げまで持ってゆく方法を紹介します。

ここ数年自然塗料でのフィニッシング(仕上げ)を希望するお客様が多くなりました、石油由来の塗装も大きな枠組みで言えば自然由来なのですか、生成段階で多くCo2を排出するとか、色々嫌われる傾向にあります。量産家具メーカーなどはメンテナンスやクレームの問題を含めてオイルフィニッシュを避ける傾向は否定できない大きな問題です。解りやすく言えば新車を買った直ぐ後は自分で洗車やワックスがけをしたりするものですが、数年すると愛着も薄れて自動洗車をしてしまうのと同じ理屈です。特に木材は自然からの収穫物ですから、女性のお肌と同じ様にこまめに保湿・メンテナンスをしなければその美しさを維持する事はむずかしいのです。個人的には漆が熱にも強くオイル・フィニッシュの様に輪ジミ(熱い茶碗や濡れたコップなどをじかに置くとその部分が円形のシミになってしまう現象)もなく理想的なのですが、仕事に時間もかかり かぶれの問題もあるし、白が美しい木も漆色になってしまう欠点もあります。そういった意味で石油由来の塗装は中長期に渡るメンテナンスフリー素材である事は紛れもない事実ですので、お客様との打ち合わせの中でこういったメリット・デメリットを詳しく説明した上で仕上げ方法を決定しています。

このテーブルは長さ4m 幅1mもある大きな木を折り紙の様に折り曲げて木目を連続させた非常に手の込んだダイニングテーブルで木目のテクスチャーを生かしつつ自然由来のオイルで仕上げなおかつ磨き上げたいとの要望で前記のデメリットを説明したうえでの作業になりました。

少し専門的になりますが、まず普通の製品と同じ様に180番程度の空研ぎペーパーで仕上げた後、粘度の低いサラサラした家具用オイルを塗込みしっかり木にしみ込ませ十分導管(木が水を吸い上げていた小さなストロー状の管を想像してください)にしみ込ませ乾燥させます。粘度の低いオイルは往々に乾きにくいので二日程時間をかけます。乾燥後320番の耐水ペーパーで木にオイルを塗った状態でウエットサンディングをしてまた一日以上乾燥させ、同じ様に600番800番1000番1500番と時間をかけてウエットサンディングを繰り返します。最後にコンパウンドでバフがけをすると自然の年鈴がくっきり浮き上がった塗装膜の非常にうすい上品でやわらかな映り込みのある表面が出来上がります。時間に追われて各ウエットサンディングの乾燥時間を省くと導管にサンドペーパーのアルミナや、シリコンカーバイトが入り込んで汚くなってしまいますので十分注意をしなければなりません、またコンパウンドは大体白いものが多いので導管がしっかりうまっていないと、黒っぽい木の場合白いつぶつぶが出てしまうために時間の有無木材の種類によっては出来ない場合があります。最後にカルナバワックスか、水ガラスを塗布して輪ジミ対策としますが、これは保証の範囲ではありません。と、技術的には難しことは有りませんので時間の許す方は是非お試しください。

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